AIの「もっともらしい誤情報」に要注意 ('26/10/19号)
急速に進化する生成AIは、文章作成や情報整理、画像生成など、さまざまな分野で活用が広がっています。しかし、万能というわけではありません。特に注意すべき課題が、情報の正確性です。AIが事実と異なる内容を、もっともらしく、時には自信に満ちた表現で生成してしまう現象は「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。米国国立標準技術研究所(NIST)も、生成AIのリスクとして、誤った情報や架空の根拠・引用を出力する問題を指摘しています。最新情報についても、モデルの学習時期や外部情報へのアクセス状況によって回答の精度が左右されます。また、人間の感情や複雑な文脈を扱う能力にも限界があり、回答をそのまま信頼するのではなく、信頼できる一次資料などで検証する姿勢が欠かせません。

AIを支えるインフラの課題
AIの進化を支えているのは、膨大な計算処理を担うデータセンターです。しかし、AIの普及に伴い、電力需要の増加や送電網への負荷が課題となっています。国際エネルギー機関(IEA)が2025年4月に公表した報告書「Energy and AI」では、世界のデータセンターの電力消費量は、2024年の約415テラワット時(TWh)から2030年には約945TWhへと、2倍以上に増加すると予測されました。これは、現在の日本の年間電力消費量を上回る規模に相当します。ただし、これは将来予測であり、実際の消費量はAIの普及速度や省エネ技術、電力供給の状況などによって変わります。電力の確保に加え、送電網の整備や設備の調達、安定的かつ経済的なエネルギー供給が、AI産業の成長を左右する重要な要素になっています。
AI競争は基盤づくりの時代へ
もう一つの重要課題が、先端半導体をめぐる供給網と地政学リスクです。高度なAIの開発・運用には、高性能な半導体に加え、製造装置や関連部材など、多くの技術と国際的な供給網が必要です。特定の国や地域への生産集中、輸出規制、国際情勢の変化などは、調達の遅れやコスト上昇につながる可能性があります。さらに、データセンターの建設や電力設備の整備にも巨額の投資が必要となるため、AIの競争力はソフトウェアの性能だけでは決まりません。情報の信頼性を高める仕組み、安定した電力供給、半導体の調達先の多様化、そしてリスク管理を含めた総合的な対応が求められます。これからのAI時代を勝ち抜く鍵は、単に「より賢いAI」を開発することから、AIを安全かつ持続的に活用できる社会・産業基盤を整えることへと、ますます広がっていくでしょう。



