「日傘男子」が増加中 ('26/8/31号)

連日の猛暑のなか、街中で日傘を差す男性、いわゆる「日傘男子」を見かける機会が確実に増えています。かつて日傘は「女性が紫外線や日焼けを防ぐためのアイテム」というイメージが強く、男性には少し縁遠い存在でした。しかし、近年は日傘に求められる役割そのものが変化しています。株式会社クロス・マーケティングが2025年に全国の20~69歳男女1,100人を対象に実施した調査では、日傘を使用している人は全体の47.4%。男性でも25.1%、つまり約4人に1人が日傘を使用していました。さらに興味深いのが使用目的で、男性の日傘利用者では「紫外線対策」よりも「暑さ対策」を目的とする人が多く、「日焼けを防ぐための日傘」から「暑さから身を守るための日傘」へと、男性を中心に利用意識が変わっていることがうかがえます。

暑さ対策としての日傘

この変化を裏付ける、さらに注目すべきデータがあります。東京都環境局が2025年9月に実施した8,353人を対象とする都民アンケートでは、今夏に日傘を利用した人は全体の67%、男性でも44%に達しました。また、日傘を利用している男性1,856人のうち44%が「今年から日傘を使い始めた」と回答。さらに、日傘を使い始めたきっかけとして「暑さ対策」を挙げた人は83%で、日傘が単なる紫外線対策グッズではなく、猛暑を乗り切るための実用的なアイテムとして受け入れられていることが分かります。東京都の調査では、男性利用者の95%が「周囲の目線が気にならない」と回答しており、「男性が日傘を差すのは恥ずかしい」という心理的なハードルも低下しているようです。 こうした背景には、日傘そのものの暑さ対策効果もあります。環境省の調査では、日傘を使用することで暑さ指数(WBGT)が日傘なしの場合と比べて約1程度低下することが確認されています。また、環境省は日傘を「個人で取り組める暑さ対策」の一つとして紹介しており、日射を遮ることで暑熱環境を改善できるとしています。

熱中症を防ぐには

こうした需要の変化を受け、現在は紳士服メーカーやスポーツブランドなどからも、軽量・コンパクトで遮光・遮熱機能を備えた男性向け日傘や晴雨兼用傘が相次いで登場しています。もはや日傘は「女性向けの美容アイテム」という従来のイメージだけでは語れません。猛暑が常態化するなか、日傘は性別を問わず、外出時の暑さ対策や快適性を高めるための実用的なアイテムへと進化しつつあります。特にビジネスパーソンにとっては、通勤や外回りの際に直射日光を避けることで暑熱環境への曝露を減らす選択肢の一つとなり、今後も男性向け市場を含めた需要の拡大が注目されます。なお、日傘は熱中症を防ぐ万能策ではないため、環境省が示す暑さ指数(WBGT)や気温を確認しながら、水分・塩分補給、休憩、涼しい場所への避難などを組み合わせることが重要です。