カスハラ対策が義務化 ('26/10/5号)
カスタマーハラスメント(カスハラ)をめぐる環境が大きく変わりました。改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から事業主にカスハラ防止のための雇用管理上の措置が義務付けられています。企業には、方針の明確化・周知、相談体制の整備、発生後の迅速かつ適切な対応などが求められます。カスハラとは、顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものを指し、正当な苦情や改善要求とは区別されます。

現場を守る「仕組み」づくり
対策の柱は、従業員を一人で抱え込ませないことです。相談窓口や対応ルールの整備に加え、通話録音や防犯カメラなどによる記録、従業員への研修、必要に応じた名札表示の見直しなど、現場を守る具体的な取り組みが進んでいます。なお、国土交通省は2023年8月、バス・タクシー等の車内における乗務員の氏名掲示義務を廃止しましたが、これは交通事業者に関する制度変更であり、一般企業の名札表示を直接義務付けたり禁止したりするものではありません。
「何でも我慢する接客」からの転換
UAゼンセンの2024年調査では、流通・総合サービス部門の組合員33,133人のうち、46.8%が直近2年以内に顧客からの迷惑行為を経験したと回答し、最も印象に残った行為では「暴言」が39.8%で最多でした。これはサービス業で働く人全体の割合ではありませんが、現場の深刻さを示す一つの指標です。 大切なのは、正当な苦情には誠実に向き合いながら、不当な要求や威圧的な行為には組織として対応すること。「お客様は神様」という発想から、顧客と従業員がお互いの立場と尊厳を尊重する関係へ――。カスハラ対策は、働く人を守るだけでなく、持続的に良いサービスを提供するための経営課題になっています。



