株高・企業倒産増・インフレの日本 ('26/9/14号)

2026年6月25日、日経平均株価は前日比3,191円高の72,366円34銭まで上昇し、史上最高値を更新しました。AI・半導体関連株への期待や企業業績の拡大などを背景に、日本株は歴史的な上昇局面を迎えています。 ただし、株価の上昇をそのまま「日本経済全体が絶好調」と捉えるのは注意が必要です。実際、日経平均はその後大きく調整し、7月には史上最高値から一時11%超下落する場面もありました。つまり、株式市場が示す企業価値と、私たちが日々感じる景気や暮らし向きには、必ずしも一致しない部分があるのです。

増え続ける企業倒産、その背景にある「コスト高」

その象徴ともいえるのが企業倒産の増加です。帝国データバンクによると、2025年度の倒産件数は1万425件となり、前年度比3.5%増、4年連続で前年度を上回りました。しかも、負債5,000万円未満の倒産が過去最多となるなど、小規模・零細企業の苦境が目立っています。 東京商工リサーチでも2025年度の倒産は1万505件と、同じく4年連続の増加となっています。さらに2026年上半期も5,335件と前年同期比6.6%増で、増加傾向は続いています。 背景には、原材料費やエネルギー価格、人件費などの上昇があります。特に価格転嫁が十分にできない中小企業では、コスト上昇が利益を圧迫し、資金繰りを悪化させるケースが少なくありません。2025年度には「人手不足倒産」も442件と過去最多となり、人件費の上昇そのものが経営負担となるケースも増えています。

個人にも求められる「インフレへの備え」

こうした問題は、企業経営だけの話ではありません。私たちの家計も、物価上昇によって少しずつ影響を受けています。総務省の2026年5月の全国消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比1.5%上昇、生鮮食品を除く総合指数も1.4%上昇しました。 物価上昇率が以前より落ち着いてきたとしても、価格水準そのものは過去より高くなっており、「物価が上がるスピードが鈍化すること」と「物価が下がること」は同じではありません。さらに内閣府の分析では、2024年以降の家計の有価証券保有額の増加には、株価上昇による評価益が大きく寄与しており、特に高所得世帯では株価上昇による「資産効果」が消費を押し上げた可能性が示されています。一方、低~中所得層ではその効果が相対的に不明瞭でした。 株高の恩恵を受ける人がいる一方、日々の生活では物価高に直面する――こうした「二極化」を考えると、個人にとっても家計の固定費や支出を見直すだけでなく、長期的な資産形成や収入を生み出すスキルへの投資など、「インフレに負けにくい家計」をつくることが、これまで以上に重要になっているといえるでしょう。