高騰する海外旅行費 ('26/7/20号)
大手旅行会社JTBが発表した2026年夏休み(7月15日〜8月31日)の旅行動向見通しによると、今夏の日本人海外旅行者数は前年比8.8%減の217万人となる見込みです。2020年の新型コロナウイルス流行以降、回復を続けてきた夏休みの海外旅行者数が、初めて前年を下回る見通しとなりました。背景には円安や燃油サーチャージの上昇などによる旅行コストの増加があり、旅行意欲は底堅い一方で、旅行先や時期を見直したり、費用を抑えられる渡航先を選んだりする動きが広がっています。JTBも、現地の物価や航空券代が比較的安い旅行先を選ぶ傾向や、混雑や費用を避けて夏休み前後へ旅行時期を分散する動きがみられると分析しています。

平均予算は30万円超え
この厳しい経済環境を背景に、旅行者の動向や目的地選びには顕著な「メリハリ志向」とシフトが見られます。今夏の海外旅行における1人あたりの平均旅行費用は、前年比6.3%増の32万3,000円と30万円の大台を突破しています。そのため、旅行代金がかさむハワイや欧米などの王道リゾート・遠方エリアを敬遠し、現地物価が比較的安価で航空券も抑えられる韓国や台湾といった「近場のアジア圏」へ需要が集中する動きが加速しています。また、混雑やピーク時の料金高騰を避けるため、夏休み本番ではなく9月のシルバーウィークなど前後の時期へ出発を分散させる動きも目立ちます。
活況なインバウンドとの明暗
一方で、日本国内に目を向けると、円安の恩恵をフルに受ける外国人観光客(インバウンド)の訪日需要は依然として堅調を維持しており、国内の主要観光地やホテル業界を大きく潤しています。しかし皮肉なことに、日本国内の物価高や旅費高騰は国内旅行者数(4.4%減)をも押し下げる要因となっており、総旅行者数は全体として縮小傾向にあります。「インバウンドで経済が活気づく日本」と、「円安とコスト高に阻まれて国内外ともに旅行を控えざるを得ない日本人」という、現在の日本経済が抱える深刻な二面性が浮き彫りになった夏休みと言えそうです。



