インフルエンザ流行と経済への影響 ('25/11/24号)

冬の入り口に差し掛かり、少しずつ肌寒さを感じる季節となってきました。そんな中、国内では「インフルエンザ」の流行が例年より早くかつ広い範囲で進んでいます。たとえば、約3,000の 定点医療機関からの報告によれば、2025年10月27日~11月2日の週には57,424件ものインフルエンザ患者が確認され、指定医療機関1施設あたり平均14.90例と、前週の6.29例から2倍以上の増加となり、警戒水準を超えました。また、同時期に全国で2,307件もの幼稚園・保育所・小中高校での部分または全面の学級・学年閉鎖が報告されており、首都圏を含む25都府県で1施設あたり10例以上という地域も多数ありました。こうした流行拡大は、何よりもまず子どもや家庭に影響を及ぼし、「学校を休む」「家庭で看病・送迎」といった家庭内の負担増にもつながります。

具体的な経済的損失

流行が進むと、経済活動にもさまざまなマイナス影響が派生します。まず、感染者・濃厚接触者による労働力の減少が起こり、生産性の低下・企業の稼働停滞に直結します。実際、日本ではインフルエンザ1例あたりの生産性損失が平均 ¥39,638 と推定された研究もあります。さらに、医療機関の入院費用として、呼吸器症例では1入院あたり約¥821,403〜¥899,935、心血管合併例では¥870,582〜¥922,814という推定値も報告されています。また、人々が外出を控え消費活動を縮小すると、個人消費の冷え込みも無視できません。全体として、インフルエンザの流行による経済的損失額は数千億円規模とされ、例として「約6,000億円」という数値も引用されています。こうした負の側面がこの季節の感染症流行には存在するのです。

インフルエンザ特需というプラス面も

しかしながら、すべてがマイナスというわけではありません。感染拡大によって、マスク、加湿器、医薬品、予防接種などの関連需要は自然と高まり、「インフルエンザ特需」として恩恵を受ける産業もあります。実際、予防接種率の向上や低価格化支援策が経済的にも有効であるとの報告もあります。例えば高齢者向けインフルエンザワクチンの普及によって医療費削減・労働力維持につながるという分析も存在します。つまり、このように“感染症と経済”という切り口では、流行によるマイナス面と、予防・対策という観点からのプラス面が同時に存在しており、それぞれを意識した対策・備えが必要と言えるでしょう。