お金と長寿の深い関係 ('25/9/22号)

アメリカでは、富裕層と一般層の間で明確な寿命格差が確認されています。たとえば研究によると「最も富裕な1%」と「最も貧しい1%」では、男性で約14.6年、女性で約10.1年もの平均寿命の差があると報告されています。これは、富裕層が質の高い医療へのアクセスや健康的な生活習慣を維持できることが大きな理由です。さらに米国のビリオネア(資産10億ドル以上)に限れば、実に20%が80歳以上というニュースもあり、一般人口での80歳以上がわずか3.8%であることと比べると驚異的な数値です。

日本の長寿社会と富の影響

一方、日本は世界でも有数の長寿国です。WHOによると、出生時の健康寿命は73.4年と世界トップクラスで、平均寿命も男女ともに80歳を超えています。背景には、魚や野菜中心の食文化、普遍的な医療制度、衛生環境の改善などが挙げられます。すでに高齢化率は29%を超え、3人に1人が65歳以上という社会構造となっています。その中でも富裕層は、高度な医療サービスや最新の予防医療、栄養・運動への投資が可能であり、さらに長寿の傾向が強まると考えられます。

富が寿命を伸ばすのか、それとも寿命が富を築くのか

興味深いのは、因果の方向性です。確かに富が長寿を後押しする面は大きいですが、逆に「長生きしたからこそ富を築けた」という解釈も可能です。長寿は投資や事業を続ける時間を与え、複利効果によって資産を拡大できるチャンスを広げます。実際、ウォーレン・バフェット氏が95歳で現役の投資家として巨額の資産を保有しているのは象徴的な事例です。さらに近年はビリオネアたちがアンチエイジング研究やバイオテクノロジーに投資しており、将来的には「お金が寿命を買う」時代が現実化する可能性も指摘されています。