「番犬」から「家族」に ('26/2/23号)

かつて日本における犬は「番犬」として屋外で飼育される存在が一般的でしたが、現在では生活空間を共にする「家族」の一員へと位置づけが大きく変化しています。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によれば、室内飼育率は年々上昇し、犬・猫ともに大半が屋内で飼育される時代となりました。この変化の背景には、少子高齢化や単身世帯の増加といった社会構造の変化があり、ペットが心理的な支えやコンパニオンとして重要な役割を担うようになっています。

伸びるペットの寿命と市場規模

医療技術の進歩や栄養設計が高度化したペットフードの普及により、日本のペットの平均寿命は大きく延伸しました。環境省およびペットフード協会のデータでは、1990年代初頭に8年前後だった犬の平均寿命は現在14~15年程度、猫も同様に15年前後まで伸びており、約30年間で実質的に倍近い長寿化が進んだとされています。この長寿化を背景に、国内ペット関連市場は拡大を続け、矢野経済研究所の調査では市場規模は2兆円前後に達し、安定した成長産業として位置づけられています。

ペット関連の食品・サービスの多様化

特に注目されるのは市場構造の高度化です。従来の「エサ中心」から、プレミアムフードや機能性サプリメント、定期健康診断、専門医療サービスへと支出の中心が移行しています。さらに近年はペット保険の加入件数増加、高齢ペット向け介護サービス、リハビリ・終末期ケア施設など新たな分野も拡大しています。家族同様の存在として最期まで健康を支えたいという飼い主の意識が、景気変動の影響を受けにくい「ペット経済圏」を形成しており、少子高齢化社会における有望な消費・投資テーマとしても注目されています。