世界から“圏外”が消える日 ('26/2/9号)
2025年時点の国際電気通信連合(ITU)の推計によれば、世界でインターネットを利用できる人は約60億人、つまり世界人口のおよそ75%に達しています。一方で、約2.2億人が依然としてネットにアクセスできない状態が続いており、これはデジタル格差の根深さを示しています。都市部や高所得国ではインターネット普及率が非常に高いのに対し、アフリカや南アジアなどの低所得地域では接続環境やデバイスの入手が大きな障壁となっているのが現状です。こうした不均衡は、単純に「使える/使えない」の線引き以上に、教育・経済機会へのアクセス格差にも直結しています。

D2C衛星通信という解決策
このインフラ格差を解消するための技術として注目されているのが、衛星通信を活用した「Direct-to-Cell(D2C)」技術です。従来の携帯通信は地上の基地局を介して行われるのに対し、D2Cは衛星とスマートフォンが直接通信できる方式で、基地局が整備されていない地域でもインターネット接続を可能にします。SpaceXのStarlinkをはじめ、AmazonやAST SpaceMobileなど複数の企業がこの技術の商用化・拡大を進めており、Starlinkはすでに世界155以上の市場で数百万件のユーザーを持つなど、衛星通信の実用化が加速しています。
GDP押し上げ効果と世界経済への波及
このような新しい通信インフラが普及すれば、これまで圏外だった約22億人超の人々がデジタル経済圏に参入する可能性が開けます。実際、GSMAの分析では、モバイルインターネットへのアクセスを拡大し利用を促進することができれば、2030年までに世界のGDPを数兆ドル規模で押し上げる潜在的効果があると示されています。インターネット接続は単なる通信手段ではなく、学習・サービス・ビジネスの基盤であり、この変革は途上国の経済成長を大きく後押しする可能性を秘めています。



