忘れ去られる忘年会? ('25/12/8号)
年末シーズンを迎える中で、2025年の企業の「忘年会/新年会」実施率は57.8%にとどまるという調査結果が発表されました。これは東京商工リサーチが2025年10月に6,529社を対象に実施したアンケートによる数字で、前年の59.6%からも若干の低下を示し、コロナ禍前の水準(約78.4%)と比べると大きく下回っています。調査は「従業員の抵抗感」や「開催ニーズが高くない」ことを減少要因として挙げており、単なる一時的な変動ではなく、開催文化の構造的な変化の表れである可能性を示唆しています。

働き方の多様化が影響か
では、なぜ忘年会の実施率が下がっているのでしょうか。第一に挙げられるのは「働き方の多様化」です。終身雇用や年功序列を前提にした『会社=家族』という関係性が薄れ、転職や副業、フリーランスといったキャリアの流動化が進んだ結果、職場外で上司・同僚と親密さを深めるメリットが相対的に小さくなっています。加えてリモートワークの定着や若年層の価値観(私生活や選択の尊重)も影響しており、単に「飲み会が嫌い」というだけでなく、職場内のインフォーマルな交流の形が変わりつつあることが各種調査で指摘されています。こうした変化は、働き手の多様なニーズに合わせた新しい親睦のあり方(小規模な懇親会、オンライン交流、プライベートな飲み会の重視など)を企業が模索する必要性を示しています。
飲食業界は転換期を迎えている
最後に、飲食業界へのインパクトです。忘年会・新年会は飲食店にとって繁忙期の重要な収入源であるため、開催率の低下は短期的な売上減だけでなく、業態や営業時間、仕入れ計画の見直しを迫る要因になります。東京商工リサーチの分析でも「親睦を図る目的での開催」は依然として多い一方で、開催しない企業の最多理由が『開催ニーズが高くない』である点は、飲食事業者が提供するサービスの再考(少人数向けメニューや予約単位の柔軟化、テイクアウト強化など)を促しています。業界全体では「忘年会の量的回復」だけに頼らず、顧客ニーズの細分化に応じた提供方法への転換が必要になっていると言えるでしょう。




