株価好調の裏で深刻な人手不足 ー 年間16兆円の損失も ('25/11/17号)
日本の景気回復の兆しとして、株式市場では日経平均が5万円台に突入し、企業収益の改善や賃上げ機運の高まりが期待されています。
しかし、こうしたプラスの流れを妨げる最大の壁が「働き手の不足」です。企業は利益を出しても、そもそも人材を確保できず、設備を稼働できない“供給制約”に直面しています。特にサービスや介護、宿泊など対面・現場型の産業ほどこの傾向が顕著です。
数字が物語る倒産・機会損失
実際、東京商工リサーチの調査では、2024年度に「求人難」「人件費高騰」「従業員退職」などを原因とする「人手不足関連倒産」が309件に上り、前年度比60.9%増で過去最多となりました。
さらに、日本総合研究所によると、人手不足が原因で発生している日本経済の“機会損失”は年間約16兆円に達し、そのうち約13兆円がホテル・介護・物流等の非製造業分であると分析されています。これは日本の名目GDPの約2.6%に相当する規模です。

人手不足解消のカギは生産性と人材活用
このような構造的な供給制約を突破するためには、単なる“需要喚起”では不十分です。鍵となるのは、①生産性向上、②省力化・自動化、③多様な人材活用です。特に、IT・ロボット化が進みにくい非製造業では、従業員1人あたりのソフト資産が飲食・宿泊で2 万円、医療・福祉で5 万円と、全産業平均の45 万円に遠く及ばないことが指摘されています。
また、高齢者・女性・外国人材などを含めた多様な人材が活躍しやすい環境を整えることも急務です。人がいなければ成長できない供給制約型経済から、人が少なくても回る“質の経済”への転換が、日本経済の持続成長への道筋となるのかもしれません。




