東京-NYが「1時間」でつながる未来へ ('25/11/3号)

東京とニューヨークを結ぶ直行便(ノンストップ便)が初めて就航したのは1983年。全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)が導入したボーイング747によって、当時の所要時間はおよそ13〜14時間となり、従来の経由便と比べて大幅な短縮が実現しました。それ以来40年以上、この飛行時間はほとんど変わっていません。しかし、技術革新によって2030年代にはこの距離を「わずか1時間」で移動できる可能性が現実味を帯びています。

宇宙を経由する「サブオービタル飛行」構想

次世代の超高速移動のカギを握るのが「サブオービタル(亜軌道)飛行」です。これは、地球の大気圏外(高度約80〜100km)に一時的に到達し、空気抵抗のほとんどない宇宙空間を弧を描いて移動するというもの。

SpaceXのイーロン・マスク氏は、再使用型ロケット「Starship」を使って東京-NY間を約45分で結ぶ構想を発表しており(出典:SpaceX公式発表 2023年10月)、イギリスのオービタル・エアロスペース社も同様のサブオービタル旅客機の開発を進めています。また、欧州宇宙機関(ESA)による試算では、この技術が実用化されれば地球上のどの都市間も2時間以内で到達可能になるとのことです。

「再使用ロケット」が変える空の旅

この夢のような移動を現実にするには、コスト削減が不可欠。その鍵を握るのが「再使用型ロケット(Reusable Launch Vehicle)」技術です。従来のロケットは1回限りの“使い捨て”でしたが、SpaceXやBlue Originの成功により打ち上げコストは10年前の約1/10にまで下がったと言われています(出典:NASA 2024年度報告書)。

それでも初期段階では1人あたりの旅費は往復約1億円前後と見込まれており、当面は政府関係者や富裕層向けの限定サービスとなるでしょう。しかし、航空輸送の歴史がそうであったように、技術が成熟し量産化が進めば、やがて“1時間の地球旅行”が私たちにも手の届く時代がやってくるかもしれません。