日米関税交渉の合意とそのインパクト ('25/8/4号)
2025年7月、日米間で大規模な関税交渉が合意に達し、日本側は米国への約80兆円の追加投資、米農産物(とうもろこし・大豆等)の輸入拡大、コメ輸入量の増加、防衛装備品・ボーイング航空機の大量購入などを約束しました。
関税率は双方で25%から15%へと緩和され、自動車関税も15%に設定。これを受けてトヨタやマツダなどの自動車株が大幅上昇し、トヨタは14.3%、マツダは17.7%と株価が急騰しました。
合意発表後2日で日経平均も2,000円以上上昇し、市場は好感を持って反応しました。

貿易収支と経済への影響
今回の合意は日本の貿易収支にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
2024年の対米貿易黒字8.6兆円に対し、関税による輸出削減や輸入拡大により、最大6.2兆円の黒字縮小が想定されており、これは約7割の減少に相当します。
もともと赤字傾向にある日本の貿易収支に拍車がかかる形で、長期的には円安要因にもつながる恐れがあります。
防衛装備品や航空機購入といった大型輸入により、貿易構造自体も大きく変化しつつあります。
外交と金融政策への波及効果
合意内容をめぐっては、日米双方の見解に食い違いも見られ、日本政府は「民間主導」と説明する一方、米国は「政府主導で米国再建に投資」と強調。
トランプ大統領はホワイトハウス公式サイトで成果を大々的にアピールし、外交的パフォーマンスとしての側面も見え隠れします。
さらに、関税交渉の一段落を受けて、FRBや日銀による利上げ・利下げの判断に影響を及ぼす可能性もあり、今後の日米における金融政策の行方にも目が離せません。
