【2025年5月時点】新NISAの利用状況を読み解く ('25/7/28号)
2024年からスタートした新しいNISA制度。2025年3月末時点での口座数は約2,647万口座にのぼり、うち「成長投資枠」での買付総額は約4.99兆円、「つみたて投資枠」は約1.61兆円と、利用が広がりを見せています。
新NISAの投資枠 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
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特徴 | ・少額からコツコツと長期投資する人向けの枠 ・毎月積み立てるスタイルで、手数料が低く長期運用に適した投資信託だけが対象 | ・より大きな金額を自由に投資したい人向けの枠 ・株式やETF(上場投資信託)・アクティブファンドなど、幅広い商品に投資可能 |
年間投資上限 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 1800万円(うち成長投資枠は1200万円) | |
非課税保有期間 | 無期限 | |
どのような人に向いているか? | 初心者や長く資産形成したい人 | 投資に慣れていて、収益性を重視する人 |
注目すべきはその利用スタイル。2025年5月時点では、NISA利用者の56.0%が「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方を活用しています。

年代別では、50代以下の約6割がこの“ダブル使い”を選択。特に40代は64.9%と高く、若年~中年層の積極性が際立っています。一方、70代以上になると「成長投資枠のみ」の利用が45.5%と最多で、保守的ながらもリスク資産への投資意欲がうかがえます。

(出所)2025年日経マネー個人投資家調査のデータをもとに武田真美が作成 ※調査実施期間は2025年4月10日~5月6日 n=8730
どれくらい使ってる?年間投資額の実態
上述の通り、新NISA制度では「つみたて投資枠(年120万円まで)」と「成長投資枠(年240万円まで)」の2種類があります。実際の利用金額はどうなっているのでしょうか?
調査によると、つみたて投資枠の年間平均利用額は約73.6万円。特に「上限いっぱいの120万円」を使い切っている人は40.0%にものぼります。一方、「30万円未満」しか使っていない人も22.4%と、投資スタイルの差が見て取れます。
成長投資枠の方は、年間平均160.2万円で、上限の240万円まで使う人は46.5%。堅実に資産形成する層と、積極的に運用する層の二極化が進んでいるのが現状です。
成長投資枠で購入されている投資商品
では、成長投資枠を使って実際に購入されている投資商品は何か?人気の投資先は年代によって異なる傾向があります。
最も多くの年代で人気なのは「配当目的の高配当株(日本株)」で、特に70代では40.9%と群を抜いています。次に多いのが、30~50代で人気の「インデックス型投信(外国株・世界株)」で、20%以上の支持を集めています。
反対に、「アクティブ型投信(日本株)」や「バランス型投信」などは、どの年代でもシェアが低く、選ばれにくい傾向です。投資の効率性や手数料意識の高まりが背景にあると見られます。

(出所)2025年日経マネー個人投資家調査のデータをもとに武田真美が作成 ※調査実施期間は2025年4月10日~5月6日 n=6758
新NISAをやるべきなのか?
トランプ大統領の関税ショックにより今年4月にはS&P500やNASDAQで大幅な下落がありましたが、先週(7/21)にはS&P500とNASDAQで続伸し続け、過去最高値を記録しました。
「米国の株価が上がりすぎているので、新NISAには投資しづらい」との意見もあるかもしれませんが、米国株だけでなく世界中に分散投資できる全世界株式(オール・カントリー)のような商品もありますし、インドのような新興国に投資できる新興国株式インデックスのような商品もあります。また、株式以外にもコモディティ(ゴールド等)にも投資できる商品もあり、新NISAはとても幅広い商品が用意されています。
新NISAを始めるタイミングは人それぞれかと思いますが、「興味を持った時が始め時」かもしれませんね。
但し、余剰資金で無理のない範囲で運用するのがとても大切だと思います。
