トランプ関税による株価下落の連鎖。見直しの可能性は? ('25/4/7号)
米国株式市場では、トランプ大統領が4月2日に打ち出した「相互関税」政策に対する懸念が強まり、株価下落の流れが止まりません。関税政策の影響は金融市場だけでなく、世界経済全体に波及する可能性も指摘されています。

中国には34%、日本にも24%の関税が課される
来年に中間選挙を控えるトランプ大統領ですが、果たして政策見直しの可能性はあるのでしょうか。
もくじ
パニック相場と円高進行
4月3日、ニューヨーク・ダウ平均株価は1,600ドル超の大幅下落となり、翌4日にはさらに2,231ドル下げ、1日としては過去3番目の下落幅を記録しました。市場の不安心理を示すVIX指数(恐怖指数)は45.31と、コロナ禍真っただ中だった2020年4月以来の高水準となり、市場は明らかにパニック状態に陥っています。
加えて、米国経済の減速を見越してFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が強まったことで、ドル安・円高が進行。ドル円は一時144円台をつけ、今後の動向によっては130円台への突入も現実味を帯びてきています。

関税応酬と政策のゆくえ
株価下落にさらに拍車をかけたのが、中国による報復関税の発表です。米国に対して34%の追加関税を課すと明言したことで、各国との間で貿易摩擦が一層深刻化。世界経済全体への下振れリスクが高まっています。
こうした状況のなか、関税政策による物価上昇や景気減速が米国内でも顕在化すれば、2026年の中間選挙への影響は避けられないでしょう。見直しを求める声が高まる可能性もあります。
しかしながら、トランプ大統領自身は「一時的な影響に耐えれば、米国経済はより強固になる」との考えを強調しており、現時点で政策転換は実施する意向はなさそうです。
まとめ:不確実性の中での今後の注目点
トランプ関税政策をめぐる状況は、市場の混乱や為替の変動を通じて世界経済に大きな影響を与えています。国民の反応や中間選挙への影響を背景に、関税見直しの議論が浮上する可能性はゼロではありませんが、トランプ大統領の意向を踏まえると、短期的な方針転換は難しいかもしれません。
今後、市場の動向や経済指標、そして国際社会の反応が、政策のゆくえを左右する重要な鍵となるでしょう。引き続き、冷静な観察が求められる局面です。
